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活動報告!『キャリア教育の新しい実践〜生づらさを抱える子ども・若者たちのエンパワーメント〜』


写真左:クリニックでの仕事体験の様子。右:製造業での仕事体験の様子
2024年10月から2025年9月までに主に4つの事業を展開した『キャリア教育の新しい実践〜生づらさを抱える子ども・若者たちのエンパワーメント〜』。1000人の夢寄金 第13回助成事業の一つです。
実施したのは一般社団法人キャリアサポートクラブ。幼児から社会人まで、コミュニケーションや対人関係が苦手な方への支援ほかをおこなっています。
事業主体からの報告書から抜粋・編集して活動内容等をご紹介します。
(一般社団法人キャリアサポートクラブのwebサイトはこちら)
今回の事業の主な目的は次の3つです。
● 発達障害等や家庭状況の課題等により、不安や生きづらさを感じる子どもたちや働きづらさを抱えた若者たちのキャリア形成と自己実現を育むこと
● 保護者同士が共感し合い、子育てのエネルギーを充電すること
● この取り組みを地域・企業・関係機関に広報し、社会全体で見守り、健やかに育む環境づくりに取り組むこと
次の4つの視点でキャリア教育の新たな実践にチャレンジしました。4つの活動とその成果について紹介します。
❶ 小学6年生・中学生・高校生向けの仕事体験を通じたキャリア教育
- ➤活動:発達障害等や家庭状況の課題等により、生きづらさや学びづらさを抱える小学6年生〜高校生の希望者を募り、20名が参加して、年12回の仕事体験、説明会、面接、振り返りを実施。スタッフ同行のもと、趣旨をご理解いただいた市内企業8社にて、1日〜3日間の見学および仕事体験を行いました。新たな経験や職場の方々との関わりを通して学んだことを振り返り、さまざまな仕事や社会の仕組み、労働の価値に気づくことができるような仕掛けをおこない、将来への夢や希望を育みました。
- ➤成果:仕事体験に参加した児童・生徒が「自分を取り巻く社会を広げながら、企業等の方との相互関係を築く過程で、自分らしい生き方を実現していく体験」の一つになったと思われます。加えて、このような体験を複数回重ねた児童・生徒は、自己理解を深めることができ、周囲の人とコミュニケーションを図りながら、自分の力を社会に役立てることへの願いや希望がもてるようになっています。このことは、学校教育でのキャリア教育の補完になったと思われます。受け入れてくださった企業の方々は、学びづらさや生きづらさ等を感じる児童・生徒の実態を理解してくださったうえで、できる限りの体験をさせてあげたいと取組みの工夫をしてくださり、当初の予定よりも長く仕事体験の機会を得ることができました。
❷ キャリア形成と自己実現を育むための個別の学び(進路や就労含む)
- ➤活動:コミュニケーションや対人関係が苦手、傷つきやすく繊細なタイプ等、生きづらさや働きづらさを訴える子どもや若者の課題や要因を本人と一緒に検討し、本人の願いに寄り添って継続して主体的に取り組むことができるよう、オーダーメイドの学びを実施。来所、訪問、所属機関との連携や体験動向、オンライン、電話等で延べ252回の個別支援をおこないました。小学生6名、中学生3名、社会人10名の計24名と定期的、継続的に学び、キャリア形成に取り組みました。
- ➤成果:実態整理や学習、アート活動、心理、就労等に関する支援を通し、自分のよさや可能性を認識し、理解や配慮を得ながら自分の力を社会に役立てること(自己実現)を育むことができました。それぞれの学びづらさや生きづらさ、働きづらさ等の課題や要因について、本人と一緒に検討することで「一人で悩まない」「自分なりの解決方法がある」ことに気づいてもらうことができました。単発で終わらず、一人ひとりに応じた取り組みを継続して一緒におこなうことで、変容が出てきたことに本人や家族が気づくことができ、結果として、教室に入ることができる日、課題を提出できる日が増えた、成績がアップした、「わかった」と感じられることが増えた、宿泊行事に参加できた、注意されることが減った、アルバイトができるようになった、就活がスムーズに進んだ、歯を磨く日が増えた、「人の役に立った」「人に作品をほめられた」と感じることができた等、本人が感じる成果があり、子どもや若者のエンパワーメントにつながっています。
❸ 保護者同士のピアサポート(定例茶話会・余暇活動)
- ➤活動:生きづらさや働きづらさを抱える子どもや若者の保護者が主体となって、同じ悩みを抱える保護者に呼びかけ、保護者同士で語り合う定例茶話会を7回実施。そのなかで2回、癒しになる余暇活動(アロマセラピーと裁縫教室)をおこないました。
- ➤成果:毎回10名以上、延べ75名の参加があり、活動に参加した保護者のウェルビーングを高めることで、子どもの教育や生活の質の向上につながりました。毎回、参加してくださる保護者が増え、子どもたちの年齢層も小学生から社会人と広がっています。同じような悩みを抱えつつ、いつも前向きに家庭や仕事をしている保護者同士がお茶を飲んだり、裁縫をしたり、アロマに癒されたりしながら、聴き合いいやし合う関係で、会の開催を楽しみにしてくださっています。保護者のウェルビーングの向上に寄与しており、このことが家庭での養育力や教育力の向上につながっています。
❹ 市民・企業(雇用担当者)向け対話型の活動報告会
- ➤活動:❶❷❸の取組みの様子や活動参加者の体験等を紹介するホームページやリーフレットを作成。地域や企業、関係機関の方等を対象に活動報告会『キャリア教育の新しい実践報告会』を2025年9月24日にウェルとばたにて開催しました。30名の参加があり、❶の参加者による体験発表や企業の方の受け入れに際しての準備や取組み、気づきを話していただき、参加者とともに意見交換をおこないました。
- ➤成果:理解と共感を得て、地域社会全体で子ども・若者を見守り・支え・育てる新しいキャリア教育の広報に取り組むことができました。児童・生徒を受け入れてくださった企業の方々が実際の仕事の様子について発言してくださったことで、仕事体験をした児童・生徒だけでなく、保護者や教員、参加者等も共有することができました。また、行政職の方や大学教官に、この取組みを価値付けてもらうことができ、市民や企業の理解促進につながりました。
全体的な成果
今回の事業で、児童養護施設や通信制高等学校の生徒へアプローチできたことは良かった。補助金を得たことで、説明会や面談、仕事体験の際の参加児童・生徒の交通費や保険料を出すことができ、経済的な負担なく、仕事体験ができたことはとても良かった。
❶から❹の事業を通して、北九州市の都市格向上に向け、「ダイバーシティを認め合い、誰もが活躍できる教育力の高い街」に一歩、進むことができたと感じています。
今後取り組んでいきたいこと
- ● 今回のような取組みを必要としている児童・生徒に広く広報したいと思うが、そのためには、例えば、児童養護施設、通信制高等学校等、ある程度ターゲットを絞って、日頃から交流して事業案内をおこなうことが良いかもしれない。
- ● 商工会議所や市の障害福祉部等に協力を要請し、スタートアップ事業として取組みの広報や拡充を図っていけるような方法を模索したい。
1000人の夢寄金のご寄付者さまへ
1000人の夢寄金の助成をいただけたことで、参加者募集や企業側の協力依頼をする段階において、次の4点が特に大変ありがたかったです。
① 参加者が経済的負担なく、安心して参加できたこと
② 事業者側で安全保険をかけることで、企業に安心して受け入れてもらえたこと
③ 信用できる団体が行う事業であると認識してもらえたこと
④ ❷の展開において、社会人の支援の希望が多くあり、卒業後のさまざまな支援ニーズに応えることができたこと
今回の取組みを活かして、さまざまなニーズに答え、支援の質の向上をめざしたいと考えています。
ご寄付くださった皆様、ありがとうございました!
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とても意義と価値の高い事業に助成できましたのも、1000人の夢寄金の趣旨にご賛同くださり、ご寄付くださっている皆様のおかげです。心より感謝申し上げます。
これを機に、一般社団法人キャリアサポートクラブさんの活動にぜひご注目、ご支援いただければ幸いです。
一般社団法人キャリアサポートクラブさんの情報はこちらをクリックしてください。
❹の告知チラシ(すでに終了しています)↓
